2・5次元の彼女
HARUが自分の身からそっと私の身体を離す。
交わる視線で言葉を交わした。
彼が思っていること、口に出せない気持ち
最後だというのに、今さら解かり合えた気がした。

そのまま、私はゆっくりと目を閉じて
やがて唇に柔らかな感触。
それは今までに経験したことのないくらい、優しいキス。

最後のぬくもりに胸がぎゅっと締め付けられる。
離れたくない。
だけど、それは叶わない。
せめて最後に刻ませて。

やがて唇がゆっくりと離れた。
ふたりの額が、こつりと重なる。

わずかな距離でHARUが囁く。
「ユウ。幸せになれ」
その優しい台詞に、2年分のHARUとの思い出が込み上げてきた。

それは決して無駄じゃなかった。
たとえアンハッピーエンドでも
夢のような日々だった。私は幸せだった。

「ありがとう、HARU」

私は彼から身を放すと、1歩、距離を置いた。
背中がトンッと、ドアに当たる。

< 217 / 241 >

この作品をシェア

pagetop