2・5次元の彼女
しばらく経って、HARUが席に戻ってきた。

「ごめん遅くなって。
あ、焼き鳥きたの?」

場が一気に華やいだ。
彼がいるだけで、空気は彼の色へと染まる。
彼の存在感は、場を明るくポジティブなものに支配する。

こんなHARUさんと付き合う女性は幸せだろう、と景斗は思った。

彼を選んだユウの選択は正しい。間違いなく幸せにしてもらえる。
それならば、自分に出来ることはただひとつ。彼女に協力しなくては。

何か彼女をサポートすることはできないか。
策を練った景斗は切り出した。
「そういえば、HARUさんの家に連れてってもらったときに、部屋に写真がたくさん飾られてあったよね?」

HARUは焼き鳥を頬張りながら答える。
「ああ、写真撮るのが趣味だからな」

景斗はユウを話題に巻き込みながら言う。
「すごく綺麗な写真だったから、今度ユウさんも見せてもらいなよ」

ユウは興味津々と言った様子で身を乗り出した。
「見たい!」

HARUは景斗の狙い通りの言葉を口にした。
「じゃあ、今度、うちに来る?」
ユウの顔色がパッと明るくなる。
「いいの!?」
「もちろん」

ユウは目を輝かせながら景斗の方を見る。
景斗、ありがとう!
そんな表情をしていた。

よかった。
ユウさんのお役に立てて。

これでいいんだ、と景斗は自分へ言い聞かせた。

嫉妬心がないと言ったら嘘になる。
いくら彼女のためとはいえ、彼女が別の男性との関係を深めていく姿を見るのは、気持ちのいいものではない。
景斗はズキズキと痛む胸を押し殺しながら、にっこりとユウに微笑んだ。

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