幸せそうな顔をみせて【完】
 溺愛…って。今までの副島新ならあり得ない言葉だけど、金曜日からの副島新はそれを行動で示している。一緒にいた時間も、形に拘らないように思っていたけど、指輪を買ってくれたりと、きちんと私のことを見てくれている。一緒に歩いて行こうとしてくれている。


 私の好きという気持ちも受け止めて貰って…。幸せだと思う。


「大事にして貰っていると思う」


「それならよかった。でも、あの総務の子には気を付けてね。結構可愛いし、副島センセイはともかく普通の男なら簡単に惚れるかも」


「うん」


「なんかあったら、絶対に一人で抱え込まずに私たちに相談すること」


 そんな未知の言葉を聞きながら私は二人が私のことを心配してくれていたのだと思った。未知にしてみれば、話の途中でつわりを起こして、香哉子を伴って金曜日の飲み会を後にして、その後のことが心配で他の同期の男の子に聞いたのだろう。指輪を見て安心したかもしれない。


「私たちは葵の味方だから」


 香哉子も一緒だった。


「うん。ありがと」



 時間が来て一緒にカフェを出ると、少し前を向いて歩いていた香哉子が振り返ってニッコリと笑う。そして私もその微笑みに誘われるように口の端を上げたのだった。学生時代に一緒の親友が出来るけど、会社に入って未知と香哉子に出会ったのは本当によかったと思う。


 働いている課は違うけど、それでも、ずっと仲良くしていけたらと思った。




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