幸せそうな顔をみせて【完】
 爽やかで清々しい朝を迎えた今日は水曜日。


 部屋に差し込む眩い朝の光に重い目蓋を開け、ゆっくりと立ち上がると窓辺に向かう。カーテンを勢いよく開けるとさらに強く眩い光が身体を包み、なんていい朝なんだろうと思った。よく眠れたからか、すこぶる具合もいい。疲れもなく頑張ろうと思う気持ちが心の奥底から溢れてくる。昨日、副島新に言われて作った資料が戻って来て、正式に始動する。


 そんな仕事の面では重要な朝だった。


『副島新はどんな朝を迎えたのだろう』


 恋も仕事も頑張りたいと思う私がいる。昨日のことを考えると胸がキュッとなる。今までも仕事は頑張ってきたし、同期である副島新に負けたくないと思う気持ちがあった。そして、少しでも早く会いたいと思う。これは私の恋心。


 恋心もプラスの方に導いてくれる気がする。恋愛でこんなにも自分の気持ちも行動も変わるとは思いもしなかった。別に副島新は今のままでいいというけど、少しでも認められる人間になりたいと思う。


「今日も頑張らないと」


 そんな呟きと共にベッドの脇に置いてある時計に視線を向けると、時間は7時45分。


「え?嘘?」


 一度目を閉じて、もう一度開けても時計の針の場所は変わらない。


 思いっきり寝坊していた。


 8時にはマンションを出ないと遅刻してしまう。そんな状況の中、私は現実の厳しさを知る。窓際で清々しい気持ちを満喫する時間は残ってなかった。たった15分で用意をするなんて至難の業。それでもしないといけない。

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