幸せそうな顔をみせて【完】
16 激震
 月曜日の朝はどこが営業室がピリリとしている。そんな中で一番ピリピリしているのは私だと思う。金曜日の発注した商品が届き、今日は小林主任と一緒に瀬能商事に納品する。その時に製品を説明してくれるという人が研究所から来るという今まで以上に力の入った仕事が目の前に控えている。


 尚之が私に仕事の依頼をしてきたのはウチの商品がいいからだという。いい商品と言いながらも小林主任と攻防の末、試験的に商品を使って貰うことで収まった。使ってみてよかったら正式の契約となるけど、今の状態では契約に至ったとは言い難い。仕事の面を知らなかった分、いつもの優しさはどこに行ったかと思うくらいに尚之には隙がなかった。



 小林主任が居なかったらあの契約はなかったことになるだろう。比べるつもりはない。でも、同じ営業をしている身としては自分との格の違いを感じさせたのも事実だった。


 今日は研究所から瀬能商事に説明をしに行く人材がやってくる。


 瀬能商事との契約は私が最初に想像しているものよりも大きなものになる。私が勿論担当だけど、オブザーバーとして、小林主任と研究所からの研究員がその任に就く。会社としても必ず成果にしたいようだった。



「瀬戸さん。今日は瀬能商事への納品に研究所の中垣さんに来て貰っている。彼は豊富な知識もあるし、この商品の開発をした研究員の一人だよ」


 商品を開発するのが並大抵のことではないのは知っている。その商品開発の研究員とはどんな人なのだろう。
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