幸せそうな顔をみせて【完】
そんなやり取りを聞きながら、私は緊張が増すばかり。自己紹介と今日のお礼を言わないといけないのに、小林主任の横に立ったまま、言葉一つ言うことが出来ない。社会人としてダメな人間の典型だと分かっているのに、緊張が私を非常識な人間にしてしまう。
そんな私に気付いたのは小林主任で、緊張を緩めるようにニッコリと微笑んだのだった。
「そんなに怖がらなくていいよ。顔は怖いし、口調も厳しいけど、仕事は出来るし、信頼も出来る。顔も口調も慣れたら何にも怖くないから」
小林主任はニコニコ笑いながら言ってはいるけど、全然フォローになってない。顔も口調も慣れればいいって……。それに顔も怖いし口調が厳しいのも肯定してる。でも、そんな小林さんの言葉は中垣さんの耳には届いてないようだった。
「すみません。緊張しただけです。初めまして、瀬戸葵です。今日はお忙しい中、瀬能商事まで同行くださるとのこと本当にありがとうございます」
「中垣です。とりあえず瀬能商事に行こうか。時間が勿体ない」
ぺこっと軽く頭を下げると中垣さんは小林さんの方を向いて、また不機嫌な顔をする。
「小林が運転でいいよな。俺、あんま寝てないから運転は無理だから」
「もちろんです。中垣さんに運転なんかさせるつもりはないです。でも、瀬能商事に着いたら商品の搬入は手伝ってくださいね」
「せめて明日にしてくれたらよかったのに」
「今日である価値があるんです」
そんな私に気付いたのは小林主任で、緊張を緩めるようにニッコリと微笑んだのだった。
「そんなに怖がらなくていいよ。顔は怖いし、口調も厳しいけど、仕事は出来るし、信頼も出来る。顔も口調も慣れたら何にも怖くないから」
小林主任はニコニコ笑いながら言ってはいるけど、全然フォローになってない。顔も口調も慣れればいいって……。それに顔も怖いし口調が厳しいのも肯定してる。でも、そんな小林さんの言葉は中垣さんの耳には届いてないようだった。
「すみません。緊張しただけです。初めまして、瀬戸葵です。今日はお忙しい中、瀬能商事まで同行くださるとのこと本当にありがとうございます」
「中垣です。とりあえず瀬能商事に行こうか。時間が勿体ない」
ぺこっと軽く頭を下げると中垣さんは小林さんの方を向いて、また不機嫌な顔をする。
「小林が運転でいいよな。俺、あんま寝てないから運転は無理だから」
「もちろんです。中垣さんに運転なんかさせるつもりはないです。でも、瀬能商事に着いたら商品の搬入は手伝ってくださいね」
「せめて明日にしてくれたらよかったのに」
「今日である価値があるんです」