幸せそうな顔をみせて【完】
 小林主任の心配するような視線で私の予想が当たっていたと知る。新規企画のプロジェクトリーダーは副島新。まさか内々に辞令が下りている?なんでそんな大事なことを私に言わないのだろう?副島新はそんな大事なことを隠すような人ではない。


 それなのに何も言わなかった。


 足元が揺れる気がした。


 副島新は私の傍から居なくなる?


 まだ付き合い初めて間もない私と副島新はどうなるのだろう。頭を掠めたのは尚之とのこと。あんなに大好きだったのに、お互いに仕事を理由に別れてしまった。今度は副島新も同じようになるのだろうか?尚之と同じように別れてしまうのだろうか?


「中垣さん。その話はまた今度ということで。さ、食事が終わったら研究所に送ります。昼からも仕事が詰まっているので」


「そうだな。俺も研究が残ってる」


 食事が終わって研究所に中垣主任研究員を送って支社に帰ってきたのは既に二時を回っていた。今日の一番の仕事は瀬能商事への納品で、後は雑務を少しだけするだけになっている。支社の駐車場に着くと、小林主任は大きな溜め息を零した。


「瀬戸さんは薄々分かっていると思うけど、さっきの中垣主任研究員の話は副島のことだよ。彼は二週間後には辞令が出て、東京の本社営業一課に配属になる」


「人事のことは話してはいけないのでは?」


「そうだけど、副島は瀬戸さんにとってただの同期じゃないだろ」


 
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