ご懐妊は突然に【番外編】
なかなか話すきっかけが作れずに日にちだけが過ぎていく。

出張から帰ってきたものの、匠さんの帰宅は連日午前さまだ。

土日は接待ゴルフや偉い人達との会合、燁子さんの捜索など、息つく間もなく忙しい。

一方、私の体調も本格的に悪化してきた。

つわりが重くなり食事が喉を通らず、身体も怠い。

こんな時に誰にも助けてもらえないのは心身共に正直キツい。


「最近、どうしたの?小森ちゃん」

つわりを我慢しながら仕事をしていると、総さまが声を掛けてきた。

本当にこの男は目敏い。嫌になるくらい。

「なにがですか?」

私は動揺しているのを隠すようさりげない口調を装った。

「なにがって、随分やつれちゃってるじゃないか」

「そんな事あり…」

軽口を叩こうとすると、急に吐き気が込み上げて来た。

私は口元を抑え、総さまそっちのけで慌ててトイレへ駆け込む。

個室に入り鍵を掛けると便器を抱えるようにしてうずくまる。

ギ、ギリギリセーフ…。

しかし無理矢理食べて来た朝食も全て戻してしまった。

歯を磨き、トイレから出ていくと、総さまが腕を組み壁に寄りかかりながら待ち伏せしてた。

「小森ちゃん、もしかして妊娠してる?」

どストレートに総さまに尋ねられて私は何も言い返せなかった。

「このことは…」

何かを言いかけたので私は慌てて総さまの腕を掴む。

「こっちに来てください」

一番近くにある会議室に連れ込んでドアを閉めた。
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