暫定彼氏〜本気にさせないで〜
「社長、社内でその様な呼び方は止めてください。」


「相変わらず堅苦しいなぁ、お前は誰に似たんだろうなぁ。まぁ、そこに座りなさい。」


「失礼します。」


社長室にある有名なイタリアブランドのソファに腰を下ろす。


やはり最高の座り心地だ。


「珈琲2つ頼む。」


社長は内線でそう告げるとデスクから立ち上がり、ソファへとやって来た。


「沙紀、仕事の方はどうだ?」


はぁ……だからその呼び方は止めてって。


「お陰様で潤滑に進んでおります。」


「堅いなぁ……。沙紀、本当にお前は誰に似たんだろうなぁ。妹はそんなにも頑なな性格では無いがなぁ。」


そう、うちの会社の現社長である相楽(さがら)社長は私の母の実兄だ。


つまり社長は私の伯父になる。


社内でこの事を知っているのは私が入社当初から社長秘書を務める樋山さんと後は数人の幹部くらいだ。


「分かりました。ここだけですよ、伯父さん。」


「分かってる。沙紀がうちの会社を受けたのも関係者だって事、絶対に言わずにだもんな。」


「正直、当時は就職難だったしコネを使えば楽だったんだけどそれだけは嫌だったから。だけど特別扱いせずにちゃんと入社を認めてくれた伯父さんには感謝します。」






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