暫定彼氏〜本気にさせないで〜
樋山さんが予約していたお店は少し車で走った郊外にあって、まるで隠れ家の様なお店だった。


フランス料理のお店だったけどメニューを見ると出しているのは田舎料理でマナーなど気にする事なく気さくに味わえるものばかりだった。


店内は可愛い小物で装飾されていて、かといってざわついた感じはなく落ち着いた雰囲気にまとまっている。


女子なら一目で気に入るお店だった。


「わぁ、凄く可愛いお店ですね。まるでフランスの田舎のお家に遊びに来たみたいって実際にそんな所に行った事無いんだけど…。」


「気に入って頂けたなら良かった。僕が適当に頼んでも良いでしょうか?」


「はい、お任せします。」


少しオフモードの樋山さんは会社では自分の事を私と言ってるのにさっきから僕とか言ってるし。


案外、気さくな人なのかも。


樋山さんが頼んでくれたメニューはどれもが美味しかった。


中でもじっくり煮込まれたロールキャベツは絶品だった。


「今まで食べた中で一番、美味しいっ。」


「それは良かったです。僕もここのロールキャベツはどこよりも旨いと思っています。」


運転があるからとミネラルウォーターを飲む樋山さんに申し訳ないからと断ったものの、つい勧められるままにグラスワインを飲んだ。


「はあ……幸せだなぁ。」


ほんの少し酔いも回ってきた私に樋山さんが言った。


「少し本気で考えて頂けませんか?」


「えっ、本気?それってどういう………」


「僕との事、前向きに検討して頂けないでしょうか?」


「樋山さん……。」










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