暫定彼氏〜本気にさせないで〜
「沙紀さん、志賀さんなんて?」
 

「なんてって…言わなきゃダメなの?」


「当たり前でしょ?俺、彼氏なんだし。」


「暫定だけどね。」


「今だけですよ。志賀さんがなんて言ったか大体の想像は付くけど何れ沙紀さんは俺に夢中になりますよ。」


はあ?


よくもしゃあしゃあとそんな自惚れたこと言えるよね。


アホらし…。


食べようっと。


なんかお味噌汁も全部冷めちゃったじゃん。


陽日を無視して食べ始めると


「沙紀さん……」


「なに?」


ジッと私を見つめる陽日。


ちょ、ちょっと何よその熱い視線は。


ここ社食だよ?


更にスッと陽日の手が伸びてきて私の頬に触れそうになる。


「ちょっ、ちょっと待った!な、何すんのよ。」


「何って?ほら、これ。」


そう言いながら私の頬に触れたかと思うと何やら見せる。


「沙紀さん、急いで食べて口元にご飯粒ついてましたよ。」


「ッ……………」


は、恥ずかしい……。


若い頃ならまだしも三十路でご飯粒なんか既に介護入ってるよね?


「あ、ありがとう。」


「いいえ、どういたしまして。」


そう言うとペロッと手に持ったご飯粒を食べてしまった。


「うわっ。」


「沙紀さん、一々反応が可愛いね。色んな事してみたくなる。」













こ、こいつ……


昼時の社食で何言ってんのよ……。


しかもいうだけ言って涼し気な顔してご飯食べてるし…。


こんなの誰かに見られてたら大変だよ。


女子社員に問いつめられたらと思うと血の気が引きそうだったけど、何故か陽日が触れた頬はいつまても熱く感じた。











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