嫌いになりたい
「じゃ、宇佐ちゃんヨロシクねー」


「ありがとー!」


「また放課後!」


何かを喋り、喜んで声を上げ駆け出す彼女達の背中を見送って、机の下に置いてある箱の中に永野くん宛のプレゼントを隠した


あの人も結構モテるんだ…

でも、中学生相手じゃ犯罪だけどね


彼女が居ないって言ってた永野くん

生徒に詰め寄られ笑顔で相手をする彼の姿を想像し、フッと笑みがこぼれた


そういえば

もう長いこと、恋愛してないなぁ…


ふいに昨日のキスを思い出す


好きでもない人と、キス………しちゃった…

実際のところ、したというよりは無理矢理されたんだけど───


唇に指をあてると、昨日の生々しい感触が蘇ってきた

熱い吐息を思い出し、体中にぞくりと鳥肌が立つ


キスなんて何年振りだろう


付き合ったことがないわけではない

ただ、もう8年も前の話だ


『俺は来てくれると思ってるから、来るまでずっと待ってる。じゃあね、ラビちゃん』


彼氏でもない人と…

というか、突然人の唇を奪う人との約束なんて…


今日は木曜日

サクが指定したきた金曜は、もう明日


………

行くもんですか…


卓上カレンダーと睨めっこし、鼻で大きく息を吐いた
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