嫌いになりたい
「いっぺん下駄箱のトコまで行って、お前が残ってんの見えたから戻ってきた」


「ふーん…」


それはまた律儀な…


「なー、飲みに行かねー?」


「え───…」


今から?


もう8時

ということは、早くても10時頃までは時間が取られるわけで…


『来るまでずっと待ってる』


サクの声が頭の中に響く


………関係ない


何度か頭を振り、浮かんだ綺麗な笑顔を振り払った


「や…予定があるんなら、無理にとは言わねーけど…」


「あ…ううん、違うの。片付けるからちょっと待ってて」


「ん」


あたしの言葉を聞き、入り口に一番近い席に腰を下ろす永野くん

その視線を背中に感じながら、机の上の書類を片付け始めた



※※※



赤ちょうちんにのれん、と典型的な居酒屋

駅に近いから、先生達の打ち上げとかによく利用されている

金曜日ということもあって店内は大盛況


「お疲れー」


「お疲れ」


生中のジョッキをカチンと鳴らし、一気に半分ほどあおった
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