嫌いになりたい
土曜日の朝

目が覚めると、章吾はもう既に居なくて

部屋の真ん中に置いてあるローテーブルに、彼からのメモが残されていた

メモに書かれていたのは、電話番号とメッセージ


『寂しくなったらまた連絡して』


急に現実に引き戻された気がして、胸が締め付けられた


『寂しくなったら』


あたしの中では『気持ち』が寂しくなったらと思いたい

けれど、彼の中ではきっと『気持ち』ではなく『体』が寂しくなったら…ということだろう

それでも───

あの場限りで終わらなかったことが嬉しくて

あたしはすぐに、章吾の名前と電話番号をスマホに登録した


「宇佐美?」


「え………あ、ゴメン。何?」


怪訝な顔をする永野くんを見上げる


「………いや、別に用事はないんだけどさ。何かボーッとしてるから、大丈夫かなと思って」


「うん、大丈夫」


「………あのさ…」


「ん?」


「その………、俺じゃ…頼りにならない?」


言われてる意味が分からない
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