嫌いになりたい
『ラビ、何が食べたい?』


「…うーん………」


何だろ

個人的には、イタリアンが大好きだったりするんだけど


『俺が決めていい?』


決めかねていたのを感じたのか

フッと笑った後、言い聞かせるように優しい声でそう言った


「ん、章吾にお任せします」


『了解。夜7時に、初めて会った場所で待ち合わせしよう。今掛けてる電話、俺のプライベート用だから。何かあったらこっちに掛けて』


「分かった」


『じゃあ、俺もそろそろ寝るよ。おやすみ、ラビ』


「うん、あたしも寝る。おやすみ………章吾」


一日の終わりに好きな人の声が聞けたこと

それが嬉しくて、切れたスマホの画面をしばらく見つめ

宝物のようにギュッと握り締めて、眠りに就いた
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