ナナ色Heart
第6章

心の中で

あたしは次の日から、真朝さんに詩を朗読した。

人に聞かせるような上手な朗読じゃないけど、あたしなりに頑張ったの。

あたしが詩を読んだり玲哉君が話しかけると、真朝さんの指先がピクンと動くことが多くなった。

それを見るとあたしと玲哉君は嬉しくて、二人で微笑み合った。

山内君とはあれ以来会わなかったし、たまに姿を見ても物凄く遠かったりして、眼が合うことも会話することもなかった。

有紗さんと顔を会わすこともなかった。

そうやって、何事もない日々が過ぎていったの。

でも、あたしは心の中で、山内君を想ってた。

今までに彼があたしにくれた言葉や、抱き締めてくれた腕の温もりを忘れてしまわないように、ずっとずっと心の中で思い起こしてたんだ。

好き。

会えなくても、触れることが出来なくても、あたしはずっと山内君が好き。

それだけはやめられない、いくら有紗さんに妨害されたって……。
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