ナナ色Heart
ひとりで歩き出すうちに、次第に手の甲がズキズキして、顔が歪んだ。

泣いてしまったのは、痛かったからじゃないんだ。

山内君、あたしに好きって言ってくれたのに、あたしは彼といられなくて。

有紗さんは、山内君と暮らしてるって、本当だろうか。

彼は、図書室であんなに苦しげな顔をして……。

彼を、苦しみから解放してあげたい。

けど、真朝さんと玲哉君の事を考えると、あたしは自分だけ幸せなんて、嫌だ。

『パパは私に凄く甘いの。あたしの一言で、玲哉の恋人ひとりくらい、どうにでもなるのよ』

有紗さんが言ったあの言葉が、あたしは凄く怖かったの。
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