ナナ色Heart
あたしは思わず窓に近寄り、空手着を着た山内君を見つめたの。

前髪から汗が滴り落ちて、挑戦的な瞳が印象的だった。

空手、やってたんだ……。

家に行っても、空手着なんか見当たらなかったし、洗濯もしたことない。

ましてや、彼の口から空手をやってるとも聞いたことがなかった。

考えてみると、あたしと山内君がいた時間は凄く短かった。

お互いの趣味も知らない。

空手着を着て、先生の指導を受けている山内君が遠くに感じて、あたしは胸が苦しかった。

「あれ、見学希望者?」

後ろから声をかけられて慌てて振り向くと、縦にも横にも凄く逞しい男性が立っていて、人懐っこい笑顔であたしを見ていた。
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