ナナ色Heart
俺は勢い良くナナの手を握ると、大股で歩き出した。

「蓮、待ってよぉ!」

いつもは裏門から外へ出るのに、俺は正門に向かって歩き出した。

「蓮、遠回りになるよー?夜ご飯の買い出しにでも行くのー?」

違う。

正門へ行くには、サッカー部の練習場の横を必ず通る。

……どいつだ。

俺はナナの手を握り締めたまま、通りすぎる際にサッカー部員達を見回した。

サッカー部員は俺達を気にも留めず、熱心にストレッチをしている。

俺は足を止めた。

ただひとり、立ち尽くしてこっちを見つめるサッカー部員と視線が絡まる。
< 311 / 339 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop