オフィスの華には毒がある
11
*****


「っかーーーー!!美味しいっ!!」


ぷはー、と大袈裟に息を吐き出し、口許を拭う。

ビアガーデンでキンキンに冷えたジョッキを……ではなく。


タオル地のショーパンと、コットン100パーセントのキャミソールという完全なる部屋着兼パジャマ。
頭にはぐるぐるターバン状のタオル。
そんな出で立ちで、瓶がかわいくて買ってしまった部分も否めないマンゴービネガーを炭酸水で割ったものを飲んだところ。


お風呂上がりの顔は、塗り込んだ保湿クリームでてらてらに光っている。


昨日のことを思い出しては、ぎゃーっと叫び出したい気持ちになったり悲しくなったり。


自分でもとんでもない情緒不安定ぶりだとは思う。


でも、そんなことを昨晩……つまり、あのデートもどきから走り去って以降、今の今まで繰り返していて、いい加減疲れてしまって。


< 209 / 312 >

この作品をシェア

pagetop