オフィスの華には毒がある
12

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「うん、分かった。分かったから帰ろう、ね?」


「わかってます?ねー本当に分かってまーすーかー?あたしの気持ちぃいぃい!!!」


「わかるよー、ひしひしと分かるってば!」


どうしてどうにか理由をつけてこの飲みの席を断らなかったのか、と、午前中の自分を問い詰めたい。

そして、その問いに自ら答えを出すとするならば、
『ある程度予想はしていたけれど、まさかここまでとは……』
ってところ。


環の彼氏が、浮気をしていたらしい。そこが発覚しての、喧嘩だったらしく。

そう。『喧嘩でもしたのかな』レベルより内容が深刻だったためか、環の荒れぶりといったら予想を遥かに越えるもので。


大してアルコールも強くないくせに、一杯目から『山崎、ロックで』とか言い出すし。
勿論丁重にお断りしたけど。
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