オフィスの華には毒がある
『ありがとうございます!何となく気になる人にキスをしてしまったり、気になっていたかもしれないという曖昧な人とデートみたいなことをしてみたり、中々良くないスタートを切っていますが、頑張ります』



……な、なぜ、消したはずのコメントががっつり載っているのでしょう。

「これ言葉にしたら、おいおい最悪だなわたし、と思って消したはずなんです」


「でもまあ残っちゃってるからね、たまこさんこと俺は見ちゃったよね」


「……ですね」


「因みにたまこってうちの実家の猫」


「……なぜ今その話を……」


並んでパソコンを覗き込みながらふと気づく。
そう言えば、話の流れでこうなったけど、これ、初めてのお宅訪問。
あーあ、もっと掃除とかしておけばよかったな……。


状況に気が付いて、急に落ち着きのなくなるわたし。


「えー……と、あれですかね、折角だからコーヒーとか、淹れますかね」


ドキドキを隠しながら言えば。

「おー、ありがとう」


……何その、女慣れしてる風の余裕な感じ。
いやむしろお前がキョドるべきところでは、と謎の怒りを覚えつつキッチンへと向かう。
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