オフィスの華には毒がある
確かに恋はしたい気もする。


ふと、全く斉木くんを思い浮かべない自分に気づく。


前までなら、そこで斉木くんの笑顔が浮かんできて、でもあの表情は分け隔てなく皆に向けられていて、寧ろわたしへの笑顔やトークは社交辞令レベル、と自覚をしてへこむところで。


だけど、それでも。


わたしのここ最近の日々において、『思い出すと心がほっこりする』という貴重な存在だったんだ。


……どうして、斉木くんはあんなことをしたんだろう。


なーんて問うまでもなく答えは出ている。

斉木くんにとってわたしは、友達との賭けの対象。
学生時代、男子達が罰ゲームで地味めの女子に告る、と同じレベルの。


……うわあ。
自分で思い付いておいて、『罰ゲーム』という単語の破壊力に驚かされる。


キツいなぁ、なんか。
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