藤くんが今日も冷たい件について(仮)【完】
影山修二の手が私の顔に触れることはなかった。



私の左横に人影が。



「…これ、俺のだから気安く触んないでくれる?」



私は目を見開いた。



藤くんが影山くんの腕を掴んでそう言ったのだ。




「はっ?」




影山くんの言葉に振り返ることなく、藤くんは掴んだ影山くんの腕を離した後、またスタスタと教室に向かって歩いて行く。




「えっ?あっ、ふっ藤くん、待って!!」




私はとりあえず口元をゴシゴシと拭いて藤くんの背中を追いかけた。



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