純粋少女と歪んだ魔法

ある意味運命の出会い

 地下に行ったエレベーターの扉が開き、私は少し躊躇いながら地面に足をついた。
何しろここは薄暗くて不気味なのだ。
私が出ると、エレベーターはすぐに上に行ってしまった。

とにかく進もう。

 そこは大きな壁が通路を生成していて、先は全く見えなかった。
でも、先が見えないということは、一直線ではないということである。

 私は壁を伝って歩いた。

 ここは、とても寒い。
病室で着ていた薄っぺらな服で来るところではない。
白い息が出る。
足の裏が冷たい。

 裸足で来るところじゃないな
そう思った。

 コンクリートであろう床を、私の足のペタペタという小さな音が這っていく。
恐怖はあったものの、引き返したいとは思わなかった。

 それから、どのくらい時間が経ったかわからない。
でも、先の方に小さなランタンの光が見えた。
ほっとした私は、その灯りに駆け寄った。

 ランタンの近くにドアがある。
少し躊躇した後、そのドアを開けた。

 私の来た道は曲がり方を変え、誰かを待っていた。



 長い廊下が私の目に入った。
でもそれは、病院の様に白くも冷たくもなかった。
赤くて柔らかいカーペット。
初めて触れるその感触。

 それに感動する私の意識を引き戻すかの様に、突然。

 バタンと大きな音をたて、入って来たドアが閉じた。
その音に身を震わせた。

 驚いて振り返っても、誰もいない。

 風が吹いたんだ、と、あるはずのない理屈で体を安心させて、私は先を歩いた。

 
 長い廊下の先にはまたドアがあった。
私がその前に立つと、ギギィと変な音をたてて、ドアは開いた。

 その中に私の姿は消えていった。

 私の入った部屋には、大きいソファーが、真ん中に置かれていた。
その中心に白い塊を見つけた。

「白い塊って…そんなの、無いでしょ」

 どこからか拗ねた感じの声がした。
可愛らしい女の子の声だ。

「誰?どこにいるの?」

「あんたさぁ…」
呆れた声と共に目の前の白い塊が動いた。
塊だと思っていたのは猫だった様だ。

何よ、と思って口を開こうとした。
それを遮るように、猫が言った。


「あたしはルイズ。
 はじめまして、レイラ。
 ちゃんとルイズって呼んでね」
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