闇に染まった真実。



「ううっ…ひっく、痛いよっ栞ちゃんがっ、わざとぶつかって、ううっ…」


ほら、早く逃げないからこうなるんだ。



「おい!この裏切り者!まだ麻里奈をいじめてんのかっ!」


「最低ですね」


「調子乗ってんのもいい加減にしろよっ!!!」

「黒瀬さんがここまでひどい人だとは思ってなかった」

「………」



そんなわけ…。そんなわけないじゃん。


「今私はドアから出ようとしただけ。どうやったらわざと転ばせたように見えるの?」



本当に、白牙は流されやすい。



私も相当屑だけど、周りの事はきっと誰よりも見える。



周りの目が怖くて、常に気にしていたあの頃、その“見える”事だけが私の救いだった。


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