印堂 丈一郎の不可解な生活
「貴遊」

そんな事を思っていた私の方に、丈一郎は顔を向ける。

「傷は大丈夫かよぉお?ったく咢の野郎よぉぉおぉ、女相手に無茶苦茶やりやがってぇえぇぇ」

「え…えっ?」

丈一郎のいつも通り過ぎる態度に、私は面食らってしまう。

彼は私を化け物ではなく、滅びの五人ではなく、まだ『人間の女』として扱ってくれるらしい。

「傷は深いのかよぉお、調息で傷の痛み和らげてやろうかぁあ?」

「い、いや、調息は…私、真祖だから寧ろ逆効果で…」

「オーノー何てこったい!そうかっ、調息は効果ねぇのかぁっ!じゃあ俺にゃあ何もしてやれねぇじゃねぇかっ!」

頭を抱えてアメリカ人ばりに苦悩する丈一郎。

「あ、だ、大丈夫…傷は放っておけば少しずつだけど再生していくから…」

寧ろ私の方が、丈一郎に気を遣っていた。

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