印堂 丈一郎の不可解な生活
もう嘗ての咢じゃない。

例え化け物でも、一思いにトドメを刺し、嬲るような真似をしなかった彼じゃない。

無意識にでも、最も相手が苦しむ殺し方を選択する。

そんな化け物の気質が身に付いてしまっている。

本当に眷属に成り下がってしまった。

肉体だけでなく、精神までも。

調息使いとして持っていた『黄金の魂』までも失ってしまった。

…雪城は、必死に調息を肉体の治癒に当てていた。

調息は使い方によっては、肉体の持つ自然な治癒力を促進させる効果がある。

その効果で、出血を止めて回復を図らないと。

本当に咢の言葉通り、失血死してしまう。

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