印堂 丈一郎の不可解な生活
匍匐前進で、少しずつ進む丈一郎。

その後ろから、グールが迫る。

今の丈一郎に、もう反撃の余力は残っていない。

グールに押さえつけられて噛みつかれれば、一巻の終わりだろう。

まだ丈一郎は気付いていない。

グールが迫る。

手を伸ばす。

倒れたままの丈一郎を摑もうとして。

「!?」

別の手が伸びて来て、グールの顔面を摑んだ。

その手は魔法の手だったのか。

僅かに力を込めた瞬間。

「!!!!!!!!」

グールの頭が爆ぜ、粉々に吹き飛ぶ!

「な…」

その段になって、ようやく気付いた丈一郎。

そこには、黒いニット帽にタートルネックセーター、ベストを身に付けた老人が立っていた。

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