印堂 丈一郎の不可解な生活
肩を落とし、私は物置へと向かう。

きっとお爺ちゃんは、丈一郎の調息の素質を買っていたんだろう。

いい調息使いになるって言っていたもん。

それだけに、彼が体得できなかった事は落胆を隠せない。

だけど、このまま衰弱死させる訳にもいかない。

調息法は、誰にでも出来るもんじゃない。

本当に、素質がないとできない技法なんだ。

だから仕方ないの。

出来ない者を、いつまでも縛りつけておく訳にもいかない。

物置の扉を開けた私は。

「こんの野郎ぉぁあぁあぁぁあぁぁっ!」

いきなり飛び出して来た丈一郎に、胸をムンズと摑まれた!

「きゃあぁぁあぁぁあぁあぁあぁぁっ!」

驚きと、胸を鷲摑みにされたショックで、四日間も拉致されていた人間をフルスイングで殴ってしまう私。

だって不可抗力じゃないっ?

いきなり胸を、乙女の聖域を摑まれたのよっ?

丈一郎は殺されても仕方がないと思うのっ!

そうでしょっ?

私悪くないよねぇっ?

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