クリスマスプレゼントは靴下に




「ええ、ええ、どうせ私はおばばですよ。
それがどうしたってんだ!
生きてりゃ、誰だって年とるんだよ!
おめぇらも、すぐにばあさんになるんだからな!
そうなった時に、若い子にさんざん陰口言われろってんだ!」



憂さ晴らしには飲むのが一番だ。
だけど、居酒屋は若いグループ客がほとんどで、そういう奴らを見ていたら、前島やら坂本達のことが思い出されて不愉快になって来て、私は少し飲んだだけでその店を飛び出した。
どこか、もっと人が少なくて静かな店で飲み直しだ。
そういう店はたいてい目立たない路地にひっそりとあるもの…
だから、居酒屋を出てからはとにかく路地を見て歩いた。
このあたりのことは割りと知ってたはずだけど、こんなに路地があることは知らなかった。
酔いも手伝ってか、いつの間にか半ば迷子状態…
開店してるんだかしてないんだかよくわからない、ちょっとあやしげな店もあって、きっと、素面の時の私ならこんな所からは早く出ようと思うんだろうけど、酔ってたせいか、そんなことも特になんとも思わなかった。



(あれ……?)



ほろ酔い加減の私の目に、古ぼけた小さな飲み屋の看板が映った。



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