立花課長は今日も不機嫌
「ほんとに大丈夫?」
心配そうに笑う沙月に、「大丈夫大丈夫」と答える。
けれど……おかしいかも、ちょっぴり。
その自覚はしていた。
だからというか、なんというか。
夕べ、立花さんとお酒を飲んだことは沙月に話せないのだった。
「そういえば、今度の懇親会、杏奈も出るでしょ?」
「懇親会?」
転がった煮玉子を拾いながら考える。
そんなのあった?
ここ最近の情報を引っ張り出そうと試みたけれど、懇親会というキーワードは引き出せなかった。
「やっぱり忘れてる」
そうだとは思ったけどね、と沙月は続けた。
“やっぱり”なんて言われると、多少なりとも傷つく。
沙月は、そんな私を気にも留めない。