立花課長は今日も不機嫌

それでも無駄な抵抗だったらしく、どうしても上がる口角を下げる術は見つからなかった。


「お、いたいた。今日は珍しく社食なんですね」


ボーイのごとくトレーを片手に載せて、入江くんが現れた。


「何かにありつけるかと思って休憩室に行ったらいなくてガッカリでしたよ」


沙月の隣に腰を下ろす。


「ちょうどよかった。入江くん、今夜は祝勝会でもしない?」

「いいっすねぇ」


沙月の提案に、入江くんが身を乗り出して賛同する。
“隠れ”立花さんを救う会の祝勝会ということらしい。


「杏奈も大丈夫よね?」

「あ、私は……」


実は、岩瀬さんとの約束の日だったのだ。

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