女神の微笑み
変化
その日はまたいつものように、結局三人で午後からカラオケに行き、声をかけてきた男達の中から、<選んだ者>達と共に夕食をすませ、その場に残った男達二人と、ユミ、さくらをおいて、アヤは一足先に帰路についた。その後おこることを、知るはずもなく…
「もう帰るの?」
「まだいいじゃん」
なごりおしそうに見送る男達を、想いの中ではあざ笑いながら、今やっと家についたところだ。
アヤはその足でベッドに倒れこんだ。
母親の水商売で生計をたてているためこの時間、家には誰もいない。
(はぁ…)
天井をずっと見上げたままアヤは思う。
(なんか、むなしいな…)
夢や、希望、叶えられた者達は言う、<夢はいつか叶う>と。あきらめないでほしいと。
叶えることのできたたった一握りの人間の残すそんな一言に溺れて、希望を消すことができずに、ただ時間だけが過ぎ、やがては妄想となってくちていく、そんな人間が何人いると思う?問いかけたって誰も答えてはくれない。
それが世の中だ。だからアヤ自身夢をもつことも、もとうとする気さえない。
その時、アヤの携帯電話がなった。ユミからだ。
「もしもし?」

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