女神の微笑み
それは、極悪非道な極道のその道を歩んでおきながら、いまだかつて、その手で人を殺(あや)めたことが一度もないことであった。

そんな不吉な予感をその身に感じてまで、アヤを今、解放することを選んだのも、またその甘さなのだろう。

それとも、いつしか愛しいとさえ思うようになったさくらへの、せめてもの罪滅ぼしとして、アヤがさくらを助けることを、自分のもとから離してくれることを望んだのか。

愛しいと思うが故、自分から離れることなど決してできないから。

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