Someday ~私がいた夏~
 手をつないだまま、ベンチまで歩いた。
好きな人に触れたことはとても嬉しいことなのに…
複雑な気持ちになっていた。

自分の気持ちはわかる。

だけど

康紀さんの本心はわからない。


私にとってはすごいことなんだけど
大人だから、手をつなぐことくらいなんでもないことなのかもしれないし。
1人でそんなことばかり考えてしまうから、せっかくの2人の時間なのに
何も言えなくなってしまう。


「桜ちゃん…けっこう1人でいろんなこと考え込むタイプ?」
この状況を見かねたのか、康紀さんが話しかけてくれた。
「うーん。たぶんそうだと思います。」
「じゃあ今何思ってるのか話してみて?」
「えっ?…いや、それはちょっと難しいかもです。」
「大丈夫。少しずつでいいから、ね?」
「…はい…。」

・・・・・・頭の中で話したいことを整理してみる。
と同時に、心臓はさっき以上にドキドキしてきて倒れてしまいそう。

「あの……。」
「うん?」
「康紀さんにとっては、手をつないだりするのはなんでもないことなんですか?」
「え?…」
「あ…いえ…いいんです。ごめんなさい。」


 言いたかったことはそんなことじゃないのに。

もう泣きだしたい気分。

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