テンポラリー・ジョブ
「えっ! 赤ちゃん?」

「はい・・・三ヶ月目です」

「そう・・・三ヶ月ね。雅夫さんは、式を挙げることを、どう思っているの?」
知恵は、相手の雅夫の気持ちを聞きたかった。

恭子は雅夫とは籍を入れて、すでに夫婦生活をしている。

二人で、結婚資金を貯めて式を挙げる予定だった。

しかし、突然の妊娠で出産費用が必要になり、結婚資金までは余裕がないことを恭子は話した。

「それじゃ、ご両親にご相談は?」

「私の両親は、足りない結婚資金は出してもいいと言っているんですが・・・主人は、親の世話にはなりたくないみたいで、そのことで、今朝もケンカになってしまいました」

「ねぇ、恭子ちゃんは、どうなの? 式を挙げたい気持ちはあるの? 」

「・・・」
恭子は答えられなかった。

「本当の気持ちを教えてくれないかな?」
「それは、式を挙げたい気持ちはありますけど・・・」

「それじゃ、キャンセルは考え直さない?」
「・・・」

「ここまで、がんばってきたんじゃない。もう一度、雅夫さんと話合いをしましょう」
知恵は、恭子を説得した。

知恵は、同じ妊娠をしている女性として、不安や苦労があることに共感して何とかしたい気持ちになっていた。

結局、来週の日曜日に三人で話合いをすることになった。



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