【短編】森田当麻の奇妙な休日
叶亜はいたずらな笑みを浮かべながら、
「現代の明智小五郎さんに言っといてください。『あなたの好きなものはアイスじゃなくて、目の前の人でしょ』と。」
「……は、はぁ」
何の意味があるんだろう。
そうは思ったが、とりあえずうなずいて、喫茶店を出た。
当麻は既に商店街を出て、歩道を歩いていた。
「……なーんだ。依頼者じゃなかったのか」
優衣が帰ったあと、女の人――詩音が「残念だな」と当麻が座っていた席に腰をおろした。
「君も早とちりだなー。彼女の気持ちも考えてやるべきだろ。君はほんとに……」
先程の紳士的な口調とはかわって、人をバカにしたような口調に変わる叶亜。