一瞬の風になれ
「…ごめんなさい…先輩…井上先輩ごめんなさい…」
あたしの瞳からはまた涙が少し流れた
微かな涙
もう泣きすぎて
枯れちゃったのかな…
「部長、明日から部活行くね」
「え、無理しなくていいよ」
「ううん、
先輩とね、先輩と走りたいんだ
奏でたいんだ」
コンクールに出て、
先輩が大会に出て。
同じ時に、
挑みたい。
同じ時に
存在したいから
一瞬の風になりたいから
「…なぁんだ、もっときいが病んでると思ったのに」
美帆の鞄から
部員皆からの寄せ書きが書かれた色紙が出てきた
そこには
「頑張れっ!」
「俺が慰めてやる!」
「一瞬の風に
なろう」
たくさんのメッセージが添えられていた