あなたにあたしの何がわかるの



ウトウトしながらも宗一郎さんが車の窓を開けているから冷たい風が入ってくるため、なかなか寝られない。



「宗一郎さん、寒い」




「ん、あぁ。わりぃな」





そう言って窓ガラスをウィーンと閉め終わるのと同時に車がキイッと止まった。





「降りろ。先に理事長室行けよな?

話はしてあるから。」





いつの間にそんなことをしていたんだろうと思いながら半分追い出された形で私は車から降りた。





「…………………ぇ」





咄嗟に出た声だった。



家から一番近いという理由で選んだのは間違いだったのかもしれない。




なぜなら……………



「なにこの校舎…!」




思わず叫んでしまった。



古くはなく、むしろ新しめの白い校舎の上に、赤、青、ピンク、黄色、紫など様々な色のペンキやスプレーで


いたるところに落書きがしてある。





ここっていわゆる不良校だったのかと初めて思った。


その時、私は壁の片隅にある落書きを見つけて、胸が苦しくなった。



【赤虎最強!】





そんな文字が見えた。
けど、すぐに目を逸らし、見ていないことにする。




うまく呼吸が出来ない…。
少し息切れながらも、私は歩いて理事長室へと向かうことにした。




ほんの少し、気分も良くなった気がした。





あの時以来だな。
学校に通うのは。







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