秘密の記憶は恋の契約
次の日も、その次の日も。

気が付けば、あれから3週間以上も経っているけれど、私と綾部くんの関係はギクシャクとしたままだった。

もちろん、綾部くんも何か考えているだろうし、私も、謝ろうかどうしようかとずっと悩んでいるけれど。

納期に追われ、毎日終電まで残業をして、土日も仕事詰めだった私たち。

当然、プライベートな話をゆっくりする暇なんてなかったし、だからこそ、仕事以外のことを口にするなんて、してはいけない気がしてた。


(綾部くんは、泊まり込みも多かったもんね)


始発で家に帰って、シャワーを浴びて会社に戻る。

休憩室で寝ていることもあったし、ビジネスホテルを利用することもあったようだ。


(私も、泊まった方が楽な時もあったけど・・・)


綾部くんと同じ行動パターンになるのが気まずくて、毎日終電に乗って帰宅していた。


そんな毎日。


一度だけ、私たちの気まずい雰囲気を感じ取った金田さんが、心配して声をかけてくれたけど。

私が大丈夫だと答えると、「そっか」と頷いて、それ以上は何も言わなかった。
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