秘密の記憶は恋の契約
2.契約試行
普段なら、金曜の朝はいつもより心が弾んでいる。

今日一日さえ乗り切れば、二連休が待っている。

そう思って、いつもより気合いが入る金曜日の朝・・・のはずなのに。

今日の私は、ずしりと重い石を背負わされている気分だった。

とにかく、綾部くんに会いたくない。

会いたくない・・・というか、正確には、どんな顔をして会えばいいのかわからない。

昨日から、いちおう、恋人同士になった私たち。

その実感はわかないし、何より、「私の全てを知っているかもしれない」という恐怖にも似た恥ずかしさが、私のココロををたまらず不安にさせている。


(はあ・・・)


気が重い。

恋が始まるドキドキ感も、ないってわけじゃないけれど。


(いまはなにより、不安でいっぱいなんだよね・・・)


どんよりとした気持ちを抱え、私は、身支度を整え会社に向かった。





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