秘密の記憶は恋の契約
3.契約危機
デート翌日の月曜の朝。


(会社に行けば、綾部くんに会える)


そう思ってココロはウキウキするものの、今の私は、浮かれている場合じゃなかった。

彼への想いに気づいた昨日。

乙女な妄想をぐるぐると駆け巡らせた私は、昨晩なかなか寝付けずに、やっと眠りに就いたのは空が明るくなった頃。

そこからグーグーと眠りこけ、はっと目を覚ましたのは、「もしも」に備えて設定してある、遅刻ギリギリのアラームだった。


(これはやばいー!)


野菜ジュースだけの朝食を済ませ、すばやく身支度を整えると、ダッシュで家を飛び出した。

息を切らせながら会社に辿り着いたのは、始業ギリギリ10秒前。

「はあっ・・・お、おはようございます!」


(よかった・・・!間に合った!)


自席に座り、ほっとして「ふう」と大きく息を吐くと、左から綾部くんの笑い声が聞こえた。

「めずらしいな。こんなにギリギリに来るなんて」

「昨日なかなか寝れなかったから。やっと眠れたのが明け方で・・・すっかり寝坊しちゃったの」
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