最高の恋の見つけ方
葵くんはほっとしたのか、いつもの葵くんの、甘ったるい顔で私に抱きついた。



「絵里、絵里が制服着るのは、今日で最後だね」



「葵くん、人がいるよ、ここ、駅のホームだよ」



葵くんはすぐ、離れてくれた。



「ごめん、抑えられなかった」



葵くんの蒸気した笑顔が、かわいい。



「ゲームしようよ、絵里」



「何?」


「アメリカ50州の名前、最初に間違えた人が、勝った人の言う通りにする」



「昔、よくそんなのやったね、山手線とか、日本の世界遺産とかさ」




そのとき、電車がきて、私たちを連れ出した。



「じゃあ、カリフォルニア」



「ルイジアナ」



「ニューヨーク」
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