最高の恋の見つけ方
「絵里ちん」


私の目の前にゆっくり歩いてくる葵くん。


「何やってたの?」


どこまで、みてたのだろう。声がうまくでない。


「あ、あのね、」



声に詰まって、葵くんを見上げる。葵くんの身長は170cmで、私より少しだけ、背が高い。



「絵里、援交してた?」



「え?」




「だって、俺みたもん、絵里がおっさんの車から降りてくるとこ」



「え、」


いっそのこと、そういうことにしておいた方がいいのだろうか?浮気を隠すことばかりに気が行って、援交のほうが、ましなのかと、錯覚する。


でも、おっさんって言うのは、やっぱり、純の顔までは見なかったのかな?いくらなんでも援交しなきゃならないほど、年は取っていないような。いや、あんなイケメンなら、ただでも相手はいるだろうし。

それとも純は葵くんの好みではないのか?



「絵里ちん」



「はい」



「ごめんね、俺が学生でお金ないから、こんなことまでしちゃったんだね」




「あ、いえ、そんなんじゃ、ない、ですよ」



葵くんが私を凝視する。時が止まったみたいだ。悪い意味で。


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