陽だまりの天使

ただ、全然違う世界に生きて、全く違う業種の話はとても面白いし、坂木さんのメールを読んで日々疲労困憊する仕事終わりに気持ちがリセットさせてもらえる。

ひと言、お互いお疲れ様、明日も頑張りましょうとメッセージを送りあうことで、坂木さんが同じように明日も頑張ろうと思ってくれたら嬉しいと思ってしまう。

ホントに些細な、たいした内容もないメッセージに、必ず返信してくれる律儀さも素敵だと思う。

間近で見た横顔を思い出すと、気持ちが浮つく。

でも、それだけ。

それ以上を望むのは、きっと高望みだと思う。

一応個展に行く日にちは1週間後の27日に決めた。

「個展にね、誘われたから行こうと思うの。連絡取ってたのもそのためだし、坂木さんのお客さんだから丁寧に対応してくれるだけじゃないかな。私が一方的にいいなって思ってるだけなの」

「進展あるじゃーん!ちゃっかりデートの約束してるんだ。やられたなぁ」

大袈裟に天を仰ぐ直美に大事な訂正をする。

「デートって、そういうことじゃないって。ネックレス返してもらうついでで」

あくまで出会いにつなげようとする直美の強かさをうらやましく思うときもあるが、建前がなければ動けない私は直美にも傷つかないための予防線を張る。


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