陽だまりの天使
「ネックレス返してもらえなかったの?倉なんとかセンセーだっけ。わけわかんないよね。佳苗が行くなら私も二人の行く末を見守りに行こうかな。つっちーは完全拒否だったけど、今の聞いてると坂木っちは望みあるよね。佳苗はがっつり坂木っちを惚れ直させるくらいの格好してさ」

「普通の格好で行くつもりだったけど・・・」

「ダメだって、ほら気合の入れ方よ。でもなぁ、あのセンセーの個展かぁ、芸術は理解できそうにないけど、佳苗の保護者しようかなぁ」

一人で知らない場所に行くよりは、誰か一緒に行けるほうが、最後の思い出を話せていいかもしれない。

「直美が一緒に行ってくれるなら心強いな」

心細さが口に出てしまう。

断りづらくしてしまったかもしれない、と思ったのは一瞬。

「くぅ、そう言われるとやっぱり行かなきゃいけないかな!よし、佳苗のために人肌脱ぎましょう。んで、その日に坂木っちと何もなかったら、そのまま合コン行こっ」

調子がいいなんて言ったら、きっと直美はふて腐れてしまいそうだが、そうやって一人で何かをすること、判断することに自信がない私には、やはりありがたい直美の強さに身をゆだねて、スケジュールを詰めることにした。

坂木さんへの気持ちを持つことへの期限が設定されたのも、ある意味よかったかもしれないと思いながら。
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