黄昏と嘘

「私・・・、ここを飛び出したままでちゃんとアナタに謝ってなかったから。
今なら・・・そう思って来たの。
突然にごめんなさいね?」


そう言いながら彼女は少し頭を下げる。
アキラはそんな彼女を見つめたまま、やはり何も言わない。

ちょうど彼女の向こう側に隠れているように見えるから笑っているのか、怒っているのか、チサトは確認することができなかった。
でもきっと哀しい表情をしているに違いない、チサトはそう思った。


そう、それはきっと。
あのLL教室で見たときの、あのときの彼のように。



「一緒に暮らしていた時、私は自分が淋しいってそればかりで、貴方がちゃんと私のことを思っていてくれたこと、全然考えてもなかった・・・。
本当にごめんなさい」

謝る彼女にアキラはゆっくりと首を左右に振る。

「それは・・・」

でも彼は言葉を続けるのを止めた。

「今日、それから報告したいことがあって・・・」

彼が言葉を止めたことを確認した彼女が今度は声のトーンを少し上げてやって来た彼女は嬉しそうに言う。


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