ありふれた恋でいいから
クリスマスが近い街並みは、そこかしこが目映い光で華やいでいる。

耳に流れ込むクリスマスソングも、何時もなら自然と口ずさむほど陽気なメロディーなのに。
心の中は、寒々しい虚無感に襲われる。


嬉しいような、それでいて凄く悲しいような。
そんな相反する気持ちは天秤にかけられた様に心を揺さぶっては傾いて、そしてまたゆらりと動き出して。

繰り返す不安定な動きがどうにも無視できない問いかけに変わる。




…本当にもう二度と、須藤に会えなくてもいいのか?

こんな、偶然がもたらした再会が最後だなんて。
ずっと逢いたかったのに、言いたいことも十分に伝えられないままで。

俺は本当にそれでいいのか?
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