ありふれた恋でいいから
取り分け目立つ存在でもないのにいつの間にか目で追ってしまう彼女のことを、好きなのだと自覚したのは比較的早い段階だったと思う。

1年生の夏頃とか、それくらい。

ドキドキしてるくせにただのクラスメートの振りして話しかけたりして。
彼女が借りていた本を読む気も無いくせに借りて、話しかけられた時は心の中でガッツポーズを決めたっけ。

表立って評判にはならないけれど、はにかんだ笑顔と主張し過ぎない佇まいが男子の中では密かに人気のある彼女。

ライバルがいないとは思ってなかったが、受験生のこの時期に告白のチャンスまで伺っている奴がいるとは想定外だった。

当たって砕けたら柄にもなくヘコみそうだとか想像して、今まで元クラスメートのポジションで妥協してた俺だけど。

他の誰か…例えば今みたいに盛り上がってる連中の誰かに彼女を取られるのは、絶対嫌だ。
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